お味噌汁の食材が、
野菜だけの理由。

OVEのランチの定番メニュー、「たっぷり味噌汁と土鍋ごはん」。季節の野菜を使ったこのお味噌汁を大ぶりのお椀に入れてお出しすると、その具材の多さに驚かれることも。今回はOVEのカフェで東洋医学の知見を生かしたメニューづくりと調理を行うフードセラピストの石光が、ひと椀に込めたお味噌汁への思いをお話します。

今回の担当スタッフ石光映美子

この香り、深い味わい。
だしの基本は「ひらたけしめじ」。

このお味噌汁は、野菜だけでだしをとっています。味わいを決定づけるだしの素材として私たちが選んだのが、千葉県産のひらたけしめじ。多古町の自然に恵まれた環境のなか、丁寧に育てられた有機野菜で強い香りが特徴です。お味噌汁づくりはまず、このひらたけしめじを土鍋で炒ることからスタート。

中火でじっくり、時折混ぜながら。しばらくすると混ぜたときに「きゅっきゅっ」という音が聞こえてきます。この音こそ水分が飛んで旨味があらわれた合図。この強い香りと深い味わいがあれば、かつお節や煮干しを使わなくてもだしとして十分においしいため、ひらたけしめじの旨味を土台にすることを決めました。

その日の食材が作り出す、
一期一会のおいしさを。

ランチに使っている野菜は、関東近郊の農家さんから送っていただいています。届いたら封を開け、大きさや形、香りを確認。「最近は雨が多かったから、今日のジャガイモは水分量が多そうだね」「この葉は香りが強いから、風味づけに使えそう」などとスタッフ同士で話しながら、食材の生かし方やメニューのバランスを考えます。

お味噌汁の具材として使うときは、大振りにカットして皮までいただくのがOVE流。その理由は、野菜それぞれの持ち味をひと口ごとに感じられるようにしたいから。たとえばごぼうは断面の面積を大きくし、しっかりとした食感とともに香ばしさを出せるように。玉ねぎはなめらかさと甘みの担当。にんじんは葉や根も入れて食感のアクセントに。

ひらたけしめじの土台にいろいろな野菜の個性が加わり、OVEで仕込んだ手製のお味噌によってすべての旨味がひとつにまとまっていきます。

旬の野菜の働きが
不調をケアし、元気をつくる。

このお味噌汁の野菜は、季節のものだけでなく日々の気候も考慮して毎日少しずつ変えています。たとえば梅雨の時期はナスやトマト、ズッキーニ、乾燥しがちな秋から冬は大根やカブなどから組み合わせをチョイス。これは単に「旬のものだからおいしい」だけでなく、旬の野菜の働きこそ身体が求めるチカラになるからです。

梅雨であれば体内にも湿がこもり、水分がたまりやすくなります。この余計な水分を排出する働きをもつのがナスなどの夏野菜。野菜のもつ働きを不調の予防やケアにつなげることが、東洋医学をもとにした陰陽五行の考え方です。この一杯のお味噌汁にも、不調を和らげ、前向きになってもらいたいという思いと知恵が詰まっています。「食べるとなんか元気になる」、そう言っていただけるときが私たちにとって一番うれしい瞬間です。

お家でつくろう『 OVE流 お味噌汁 』

材料5人前

  • ひらたけしめじ1パック
  • ごぼう1本
  • たまねぎ中2個
  • にんじん1本
  • じゃがいも3-4個
  • さつま芋1/2本
  • 味噌大さじ2
  • 600-700ml
  • 米油もしくはなたね油大さじ2
  • 地のり適量
  • 長ねぎ適量
ポイント

ひらたけしめじがない場合は舞茸に変えてください。

作り方

  1. ごぼう、にんじんは大きめの乱切り、玉ねぎは3〜5mmのスライス、じゃがいも、さつまいもは乱切りにします。
  2. しめじは石づきを切り落とし、手で割きます。厚手の鍋を火にかけ、しめじを空炒りします。水分がとび、香りがたつまで。(「きゅっきゅっ」という音が合図です)
  3. 鍋に米油を加え、ごぼうを入れて炒めます。香りがたってきたら玉ねぎを入れ、透明になるまで炒めます。
  4. にんじん、ジャガイモ、さつま芋などの根菜類を入れ、油が野菜全体になじんだら水を加え、1時間ほど中火で煮込みます。
  5. 火を止め、味噌をとかして完成です。器に盛り、地のりと長ねぎを適量のせたら、より風味が豊かになります。
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