#自転車のある風景
自転車のある風景 第 7 - 1 話 No Damage
また一つ季節が過ぎた。 空は高く晴れていた。銀や白の車体が赤や青で派手に彩られた車輪の小さな自転車たちが高層ビルの足元、車の往来が多い道路をゆっくりと走っていく。 彼らは車で走っていると見逃してしま...
続きをよむ自転車のある風景 第 8 - 1 話 雨やどり
九月のとある木曜日。 目覚ましが鳴ってもいい頃なんだけどなぁと夢うつつ、ベッドから身体半分、ずり落ちそうになりながらスマートフォンに手を伸ばす。なんとか薄っすらと目を開けて時刻を読む。 「え?」 い...
続きをよむ自転車のある風景 第 8 - 2 話 雨やどり
「お手伝いしましょうか?」 声がした方向を見ると、少し離れたところでチノパンに白いコットンシャツ姿の男性が私の様子を窺っているけれど、太陽を背にしているから顔がよく見えない。 「あ、」 慌てて立ち上が...
続きをよむ自転車のある風景 第 9 - 2 話 RING!RING!RING!
思いがけず、街を自転車で走ることになってしまった。電話でひと言あればもう少し動きやすい服装にしたのに、彼は私がスカートをはいてくる姿を想像さえしなかったのかも。 「行くよ。ついてきて。同じクロスバ....
続きをよむ自転車のある風景 第 10 - 1 話 いつもの風景
みどり色の風が吹くいつもの景色が、銀杏の葉で黄金色に染まる中、いつも通りに自転車で走り出した。あの日見かけたアゲハが空に消えていった。 自宅から会社までの約15kmを1時間弱で通っている。 もう少し...
続きをよむ自転車のある風景 第 10 - 2 話 いつもの風景
自転車で車道を走る。毎日、激しく行き交う車やオートバイに神経をすり減らしながら、走る。 踏切こえて、川こえて、環八こえて。 右も左も同じ顔、寄り道なんかできない。 いつもの走り慣れた道でも、人が運転...
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