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自転車で行ってみた④ 昭和の町並みに隠れるように佇む、誰にも教えたくない珈琲店

冬のライドは、厚手のグローブにマフラーで暖かくして出発する。今日は神田まで走るので、市ヶ谷からは外堀沿いの道をゆく。JR中央線、総武線の線路を見下ろす高台の道は、いつ走っても気持ちがいい。御茶ノ水駅を過ぎると、淡路坂。鈴木淡路守の屋敷があったことから名付けられたらしい。この辺りは江戸時代、武家屋敷のあったところだ。


この坂を下って、神田須田町の交差点から一本入った裏路地にあるのが高山珈琲。小型乗用車がやっと一台通れるほど狭い路地の一角にある。以前、自転車で走っていてみつけたお気に入りの店だ。中へ入るとぐっと照明が暗くなり、流れているのはクラシック。突如、靖国通りの喧騒から異空間に入ってしまったかのような錯覚を覚える。丁寧に淹れられたオリジナルブレンドの濃いめのコーヒーは、一人ひとり違ったカップで。アップルパイも手作り感にあふれていて美味しい。妙に落ち着くのは、この暗さのせいなのか、コーヒーの香りのせいなのか。


神田の町は神田紺屋町という町名があるほど、かつては染物屋、生地問屋が多かった。高山珈琲の隣もなんと、裏地店。モルタル造りの建物が連なる一角は、昭和の雰囲気を醸し出す。こんな古びた路地のまんなか、どうして珈琲店をやろうと思ったのか、いかにも穏やかな店主にいつか聞いてみたいと思っている。


昔たもとに国鉄駅のあった万世橋で神田川を渡って、神田明神へ。社伝を見ると、創建は730年。平将門を祀る、と仇やおろそかにはお参りできそうにない。いつも前を通り過ぎるだけなので、今日は自転車を停めて社殿の中へ入ってみる。徳川家康が関ヶ原戦勝の祈祷をしてから江戸総鎮守となったとか、大黒様や恵比寿様の像があったり、と今まで知らなかったことが盛り沢山だった。年も改まって、東京のあちこちで七福神巡りをやっている。この辺りでいえば新宿山ノ手七福神や深川七福神など。今年の福を願って、人出も多いのだろうか。





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