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自転車で行ってみた③ 裏路地の、そこは傷だらけの天使みたいなレトロカフェ

小田急線の下北沢駅といえば、かつては原田芳雄や松田優作が夜な夜な現れていた演劇の町。役者やミュージシャンの卵、学生で溢れた、どこかアートの匂いがする町だった。駅前食品市場があった雑然とした雰囲気は、上京した若者には「ザ・東京」そのものの街だった。その下北沢の駅が地下に移ってしまい、かつての駅前はのっぺりとした広場になっていた。南口と北口に分かれていた駅は、東口なんて出口に変わっていて、まるで面影がない。


そんな下北沢の”かつての北口駅前”から奥まった路地裏にある喫茶店が、マルディグラ。傷だらけの天使に出てきそうな、そんなレトロな雰囲気の喫茶店だ。入口の扉は低い網戸だし、鬱蒼とした草花が、植えられたのか伸びたままなのか、店の外観を覆っている。


入口近くのカウンター席には、ご近所にお住まいらしき常連と思われるご婦人が二人、同じ年代と思しきオーナー夫人と近況を語り合っている。フロア中央にダイニングテーブル、その他にもテーブル席がいくつもある。家具はアールデコ調で大人の雰囲気、ちょっとお金持ちの友達の家風。窓からは店の前に停めた自分の自転車が見える。ケーキセットで、カスタードプリンを選び、コーヒーと一緒に。


帰りは駅前の路地をぐるぐると走って、かつての線路だったところなどを巡ってみる。どこにも踏み切りで遮られていた線路はないのだった。
下北沢には、緑道が3つある。目黒川緑道、北沢川緑道、烏山川緑道。緑道内は一部自転車通行禁止になっているが、そのときは並行する道から緑道を眺めながら走るのが、いつものコース。


すぐ横に住宅があって、夕方通ると、晩御飯のいい匂いがしたりする、生活が真横にある道。子供やお年寄りが、ゆっくりと散歩する、そんな光景がよく見られる。のどかだ。そんな道を自転車でゆっくりと巡る。そんな散走が、心地いい。



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