自転車お出かけスポット~イベント編~「CMWC2023 YoKohama(サイクルメッセンジャー世界大会)」を観戦してきました!
【CMWC2023 YoKohama とは】
CMWC(Cycle Messenger World championships)の略で、都市部を中心に、自転車を使って配送を行う「メッセンジャー」と呼ばれる職業の人々が世界各国から集まり、その正確さと速さを競うという1年に1度行われている大会です。
1993年から始まったこの大会。開催地は世界中の立候補地の中から選ばれ、2009年には初めて日本(お台場)で、そして今回は横浜の日産スタジアムというCNWC史上最大級の舞台での大規模なレースが行われました。
「メッセンジャーの大会っていったいどんな大会なのだろうか・・・よくわからないけれどとにかく面白そう」という興味を抱き、2023/9/24に行われたデリバリーレース決勝戦の日に観戦して参りました。
【開催期間は約1週間!】
自転車乗りのフェスティバルである『CMWC』は、メッセンジャーレースだけではなく、アートショー、マーケット、パーティー、スクールなどを通して"ヒト・モノ・コト"を繋ぎ、自転車や都市の魅力を発信するオープンなイベントで、会期中はメインの日産スタジアムだけでなく「象の鼻テラス」や「みなとみらいギャラリー」「横浜公園」「横浜マリンタワー」など横浜の魅力あふれる場所を紹介しつつもイベントを楽しんでいただける内容となっていました。レース参加者はもちろん、一般来場者もみっちりと自転車の「様々な一面」を楽しめる、魅力あふれる6日間。「せっかく海外から来日してくるんだから、日本を存分に楽しんで欲しい!」という主催者からの思いも伝わってくる、そんなイベントでした。
【OVEのランチコーヒーでおなじみ、BICYCLE COFEEの出店、他、期間限定モノが多数!】
日産スタジアムでは24-25の2日間、ハンバーガー、たこ焼き、かき氷、ホットドッグなど様々なジャンルのキッチンカーが登場。その中でもひと際人気で太っ腹だったのがOVEのランチコーヒでもご提供している「BICYCLE COFFEE」。
なんと、こだわりのコーヒーが、FREE ・・・タダです。
一口試飲ではなく、がっつりと「大きなカップに一杯」ですよ??
当然大人気で、用意していたコーヒーが早々になくなってしまったとか。
自然環境を考慮して無農薬で栽培された最高品質のサステナブルコーヒーを自家焙煎。配達方法も環境に配慮し、トレーラーを付けた自転車でコーヒー豆を取引先に配達している、正にスタッフがメッセンジャーとなり、大事な豆を丁寧に配達するブランドです。もちろんOVEへの納品も自転車です。
期間中、大会事務局のスタッフが選んだ豆で作られたオリジナルブレンド「OFFICIAL COFFEE BEANS」が販売され、期間限定で楽しめる特別なコーヒーを味わうことが出来ました。
他にも大会の開催を記念して、クラフトビールメーカー「横浜ビール」「横浜ベイブルーイング」「里武士 馬車道」の3社がオリジナルビールを醸造。ライド後の疲れも吹き飛ぶお楽しみの一杯は味だけでなく、ラベルも自転車がモチーフとなった特別仕様(もちろん飲酒運転はできません)
食べ物以外にも試乗コーナーやグッズ販売など出展ブースは大盛り上がり。もちろんSHIMANOブースも頑張っておりました。沢山のブランドを一度に楽しむことが出来る機会はそうあることではありませんので自転車好きには本当にありがたい場となりました。
【とても華やかな自転車の世界】
自転車とは面白いもので、自転車の車種によってその競技の世界観が全然違ってくるのです。
山で乗るマウンテンバイクとオンロードで乗るロードバイクでも全然スタイルが違ってくるわけですが、例えばロードレースは「シュッとしたスタイル」で自転車もカチッと決まっており、いかに車体を軽量に仕上げ、スピードを上げて距離を走れるか、ウエアにしても自転車にしてもいかに無駄をそぎ落とすかというスタイル。個性的というよりは整理整頓されたイメージ。
それに反してメッセンジャーたちのスタイルはとても自由で個性的。自転車にしてもウエアにしてもこれほど様々にデコレーションされた自転車の集まりを目にすることが無いのですが、世界大会だけあってとにかくカラフル。自転車の種類も実に様々。ステッカーやラミネート、配達時に必要な情報を見やすくするためのバインダー装着など車体のデコレーションが実用的かつ独創的でした。
どんな気象条件でもいかに早く沢山の荷物を届けるか、日々プレッシャーと体力との戦いとなってくるメッセンジャーというお仕事。見た目よりとてもきつい仕事だと思いますが、少しでもテンションが上がるよう機材を楽しんでいる様子や働きやすくする工夫が自転車に施されているように感じました。会場内にある「CYCLE CLOAK(駐輪場)」は個性的かつユニークな自転車が所狭しと並んでおり、1台1台じっくりと見ていきたいほどバラエティーに富んでいました。そのこだわりに「なるほどねー」と感心してしまうものばかり。自転車愛を感じずにはいられませんでした。
【子供から大人まで楽しめるスクールやショータイム】
横浜のプロライダー"TWINS BMX"の2人のライダーがお子様から大人の方や女性の方でも楽しめる「3つのクラス」に分けたBMXスクールを開催。BMXを持っていなくてもレンタルが用意されているので、新たな趣味の発見につながる可能性も!
また彼らによるBMXフラットランドの華麗なショーも披露され、「自転車でこんなことが出来るのか!」と観る人を驚かせていました。自転車は乗るだけではなく「魅せる」こともできる乗り物なんです。
【いくつものレースカテゴリー】
★DSP(ディスパッチャー)RACE
コース上に散らばって待機しているメッセンジャーに無線で指示を出すディスパッチャー。いくつものオーダーをとりまとめ、彼らにいかに的確な指示を出してすべてのオーダーを迅速に効率的に運べるか、ディスパッチャーの手腕が問われる「ディスパッチャーレース」。引き取りから届けまでを5分以内に完了させないとメッセンジャー、DSPともに顔に落書きのペナルティーが科せられる指示などもあり、レースを一段と盛り上げていました。すべての配達を終え全員がDSPの元に戻り本部にいち早く報告したチームが優勝。1,2位に輝いたのは「TServ」のチームT-2とT-1。さすが日本を代表するチーム。開催国で優勝できたことは嬉しかったことと思います。
観客はチームの途中経過を携帯で見ることが出来るシステムになっており、いまどこのチームがどれだけの配達を行っているのかがわかるようになっていました。特に応援しているチームがある人はとても盛り上がることが出来たのではないかと思います。
★CARGOBIKE RACE
大きな荷物を運べる荷台を付けた自転車のレース。自転車も大きいですが、運ぶ物も大きいので迫力満点です。普段こんなに大きな自転車が集団で走るところを見ることもないですし、それぞれ色々なタイプの荷台を付けて参加している為、形もユニーク。沢山の大きな荷物をどうやってバランスよく積んで運ぶかというところにもセンスが問われます。それでいて早く届けなければいけないのでメッセンジャーも四苦八苦。荷物の形が全て四角いものとは限りませんので大変です。そんな様子を笑ってはいけないのでしょうが・・・ほほえましく思いながら応援していました。
★DELIVERY RACE
メインとなるデリバリーレースはジェンダー不問の「OPEN」と、ウーマン・トランスジェンダー・ノンバイナリーの「WTNB」に分かれ、クラスは「現役メッセンジャー」「元メッセンジャー」「非メッセンジャー」に分かれての個人戦。
8枚あるマニフェスト(指示書)にはそれぞれの特徴の異なる複数のオーダーが記され、マニュフェストが終了するごとに本部へ提出。次のマニュフェストを受け取ります。マニュフェストの枚数は段階的に少なくなっていき、最後のマニュフェストを終わらせて、本部に最も早く提出した選手が1位となるレース。予選はすでに別日に行われており、この日の決勝に残ったのは120名ほど。それでもすごい数です!予選はいったい何名いたのでしょうか?
スタートしたのが15:20分ごろ、優勝者がゴールしたのが17:40頃でしたので約2時間半に渡り休むことなく荷物を拾ったり届けたりしていたわけです。
そして今回の会場はとても広く、この何層にもわたる大きな日産スタジアムを上下左右にぐるぐると、あちこち振り回され、コースバリエーションも豊か。なんとも過酷なコースだったそうで選手たちが苦労している様子をうかがい知ることが出来ました。応援する側で良かったです(笑)
メッセンジャーのお仕事は時間が命。自転車の機材トラブルの原因を少なくするため、変速機の無いシンプルなシングルギアを使用している人も多いため、このコースは相当きつかったことと思います。通常業務では自転車にカギをかけて荷物の配送を行うため、レース中も実践同様しっかりカギをかけているかチェックされるポイントもありました。
いかにカバンの中身を整理して様々な形の荷物をメッセンジャーバックに詰め込み、配達するのかも考えなければなりません。バッグから荷物を出し入れしながらなんとか詰め込み猛ダッシュ。本当の配達なら怒られそうな状態の方もいましたがそこはレースという事でご愛敬でしょうか(笑)とにかく必死さが伝わってきました。
パンパンに膨れたメッセンジャーバックを背中に背負い猛スピードで駆け抜けていくメッセンジャーの姿はとても格好良く、1分1秒も無駄にしたくないという必死さは自転車の乗り降りにも現れており、「お見事!!!」と声をあげたくなるような華麗な乗降を披露する選手も。スピード、ルート取り、配送順、積み込み、乗り降りの技術、ファッション性、とにかく「配達」という仕事の中にこんなにも色々な見どころがあるものなのか!と、とても楽しんだ1日となりました。体力だけではなく頭を使う職業であることは間違えなく、その世界の頂点に立つという事がいかに難しいことなのかという事を感じることが出来た大会でした。
昨年のニューヨーク大会で世界チャンピオンに輝き2連覇をねらう横浜のメッセンジャーネーム『ちかっぱ』さんは残念ながら敗退。OPENクラスではアメリカから参加の『SAFA』さんが、WTNBクラスではデンマークから参加の『Shottie』さんが優勝となりました。
メッセンジャーという仕事は個人ではなくチーム力がカギを握っています。DSPからの指示から始まり、途中で他のメッセンジャーに荷物を渡したり、交換したり、いかにすべての荷物を迅速に丁寧に運ぶことが出来るかというお仕事です。だからこそ参加者同士がとてもフレンドリーで、一丸となってこの大会を盛り上げて楽しもうというお祭り感が生まれているのだと思います。
来年のCMWCはスイス・チューリッヒでの開催。
いつかまた日本で開催される日を楽しみに、そしてその時にはぜひ皆様にも足を運んで盛り上がっていただきたいと思います。