レポート 鎌倉紫陽花散走
鎌倉の6月といえば、紫陽花。平日でも週末でも、なんでそんなにと思うくらいたくさんの人たちがやってきます。「あじさい寺」と呼ばれるお寺もいくつかある中で、同じように「花の寺」と呼ばれ、一年を通して様々な花を愛でることの出来ることで有名なお寺もあります。
北鎌倉にある東慶寺も、そんな「花の寺」の一つ。
OVE散走は、東慶寺の境内、参道の左手にある喫茶「吉野」から始まります。
いつものように、奥のテーブルに陣取りオリエンテーションを行いながら、コーヒーを味わいます。ちょうど座っているテーブルの背後にある紫陽花「ピーターパン」がテレビで紹介されたそうです。
すでに気温も上がりつつあり、蒸し暑い1日になりそうな予感。椅子の中に体がすっかり落ち着いて、根が生えてしまいそうになりますが、後ろ髪を引かれる思いで喫茶吉野を後にします。
とは言っても一旦走り出せば、楽しい散走が待っているのです!すでに旧鎌倉に向かう県道も渋滞が始まるなか、建長寺の手前で亀ケ谷坂に入ります。
切り通しの壁に紫陽花が咲き誇っています。もったいないので自転車を降りてゆっくり歩きましょう。写真など撮りながら坂を上っていくのですが、緑のあるところの涼しさにも驚いたりするのです。
自転車を押していたら、ランニングをするグループに追い越されました。自転車もそうですが、鎌倉はランニングにもおすすめの場所のようです。
坂を転がるように降りて、横須賀線の線路下をくぐり、最初の目的地であるこちらも「花の寺」海蔵寺を目指します。
駐車場の片隅に自転車を止めて、お寺に向かいます。
鎌倉駅から離れているからか、あまり紫陽花が多いわけではないからなのか、境内にはほとんど人がいません。婚礼写真を撮影しているグループと、あとは一人境内にたたずむ静かで豊かな時間を満喫している方がいるだけでした。お仲間に入れてもらって、ゆっくりとお寺を巡ります。みな好き好きに、庭をながめたり、建物に魅入ったり、もちろん花を愛でたり。先客の方のようについついゆっくりとしてしまうのは、境内に気持ちのよい空気が流れているからなのでしょうか。ゆったりのんびりしていたら、またしても根が生えてしまいそうになりました。
海蔵寺をあとにして、いかにも蛍のでそうな川沿いから小町通りをぬけて、鶴岡八幡宮の前を通って、次に向かったのは「源頼朝の墓」
頼朝の年齢と同じ段数といわれる階段(一番したの一段目が微妙)をえっちらおっちらと上って、お墓の前にたどり着きます。
お墓を掃除している方から説明を受けつつお参り。次から次へと話が湧き出してきて止まるところを知りません。
おかげで15年間散走でやってきつつも知らなかったことをいろいろと学ぶことができました。
ここからは、鎌倉の道を楽しむ区間。金沢街道(鎌倉の街から朝比奈インター方面に向かう道)の裏の道を通ったり、若宮大路と並行している車は入れない小道を走ったり。そして海に出たら建設中の海の家たちを横目に見ながら稲村ヶ崎まで走って。。。という予定だったのですが、途中でモンブランスタンドという目の前でモンブランを絞って作ってくれる店の前を通ってしまい、予定変更。
季節柄「栗」のモンブランを食べることは出来なかったのですが、「ベリー&ベリー」もしくは「ピーナッツ」のモンブランを好き好きに注文したのでした。どちらも美味しかったのですが(食べ比べていないのでそれぞれの感想を聞いた結果です)、モンブランらしいのは果物よりも「ナッツ・木の実」系の材料なのかな、というのが正直なところ。
楽しい寄り道のあとは、予定通り稲村ヶ崎に向かったのでした。みんなで集合写真をパチリ。残念ながら富士山は見えませんでしたが、西へ伸びる海岸線と江ノ島の浮かぶ姿を見ると、なぜか気持ちが和むのでした。
稲村ヶ崎からは極楽寺の切り通しを通って旧鎌倉に戻ります。御霊神社の手前の踏切は紫陽花とトンネルから出てくる江ノ電とを画面に収めることの出来るフォトスポット。参道入り口の「力餅屋」で力餅も買ったら、鎌倉を横断して逗子マリーナのある小坪へ。ランチタイムがやってきました!
やってきたのはOVE散走ではおなじみの「ピッコロ・ヴァーゾ」ですが、実は昔の店とは違うのです。
なんと、お店は4年前に閉店してしまったのでした。
そして最近になって、元のお店のお客さんがオーナーとなって店を新たに始めたんだそうです。
店内の雰囲気もずいぶん変わりましたが、看板メニューとその味は昔同様。入り口の軒下にツバメが巣を作っているのも昔のまま。
なにより、みんなでワイワイとおいしい食事を楽しめる空間が残されたことに感謝しながら、次から次へとやってくる海の幸山の幸を平らげていくのでした。
その前に、なにはともあれノンアルコールビール(とジンジャーエール)で乾杯!
食後はリクエストがあったので、ちょっと上りました。
行き先は材木座の東端にある古刹、光明寺の裏山。
ここからは鎌倉の街と由比ヶ浜/材木座の海岸を望むことが出来る絶景ポイント。
ここで、ランチ前に買った力餅とほうじ茶で一服。
めざとく頭上にやってきたトンビを警戒しながらのお茶、なかなかスリリングでした。
さて、そろそろ出発しようかと思った時に、地元の方がとことこと歩いてこられたので、ご挨拶。ここからまた会話が始まり、光明寺のいろいろなお話を伺うことが出来ました。
海沿いの道に戻る手前に、大きな墓が並んでいる場所。日向延岡の内藤家代々の墓だそうで、大名家代々の墓の時代による変遷もわかる、貴重な墓所なんだそうだ。
最後に由比若宮に立ち寄ってから鎌倉駅を目指しました。
由衣若宮(ゆいのわかみや)は前九年の役の後、源頼義が石清水八幡宮を「密かに」勧請したのだそうだ。小さいけれども落ち着いた空気の流れるお社なのだ。
夏になるととにかく蚊が多いのが玉に瑕ではあるのだが。
ただ単に紫陽花を見て回るだけでなく出会った方々から貴重なお話を伺えたりいろいろなものに巡り合ったりと「なんでも散走」と呼んでも良いくらいの散走でした。