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OVE散走レポート
2022/7/9 Sat

レポート 渋谷、縦横無尽!

渋谷川を巡る散走


大学生になって受講した一般教養科目「地学」の最初の授業で、先生は渋谷の地図を配った。そして
「渋谷は、渋谷川が作った」
というような話を始めた。残念だけどそれ以上の詳しい話は全く覚えていない。

その後、自転車で東京を走り回るようになった私は、地形を利用してルートを作ることや昔の川筋を追うことに興味を持つことになるのだが、そもそものきっかけは、その渋谷の授業だったのではないかと思う。

。。。だから、というわけではないけれども、渋谷の川筋と山の手を自転車で巡り、さらにはビルの屋上から走ってきたルートを眺めるという、まさに「縦横無尽」に渋谷近辺を動き回る散走はいつか実施したいと思っていたのでした。

隠田川=旧渋谷川遊歩道路


OVEを出発して、最初に向かうのはその名も「旧渋谷川遊歩道路」。
いかめしい名前では分かりにくいが、裏原と呼ばれるエリアにあるくねくねと曲がる道路でもともとは「隠田川(おんでんがわ」と呼ばれていた。表参道から川下側は「キャットストリート」という愛称がある。また葛飾北斎の富嶽三十六景には「隠田の水車」という作品がある。

自転車を右に左にと傾けながらクネクネ蛇行しながら走るのは、なぜか楽しい。といっても、まっすぐな道路を蛇行するわけにはいかないのでこのような川筋を走ると、その楽しさを満喫できる。午前中の裏原宿は、まだ目覚めていないのか人影もまばらで、自転車で走りやすいことこのうえない。

MIYASHITA PARK



キャットストリートを走り抜けると目の前に現れる構造物が「MIYASHITA PARK」
線路脇にあった宮下公園一帯を再開発して作られた商業施設だ。
一階東側の歩道に沿って、日本全国の飲み歩ける飲み屋街が作られている。ところどころ、目に飛び込んでくる気になる地名を見ながら自転車を押して通り過ぎる。山手線をくぐるトンネルの左右には駐輪スポットがあり、その周辺のグラフィティは「昔の」渋谷を思い起こさせてくれる。今回はMIYASHITA PARKの2階にある駐輪場に駐輪。発券機があり自動で開閉するゲートのついた駐輪場だ。
発券機や自動ゲートなど、ギミックを体験するために、こちらの駐輪場を利用したが、山手線のトンネル脇の駐輪スペースは最初の60分無料であるのに対し、こちらは最初から課金される。たぶん、1人で渋谷の街を巡っていたら、トンネルの方にとめたかもしれないけれども、こちらの駐輪場は最初から課金されるためか人気がない。有体にいえば、「空いていて、ガラガラ」なのだ。自転車を傷つけたくなかったり、駐輪時のトラブルをなるべく避けたい場合は、おすすめかもしれない。

一旦1階に降りて、エレベーターで屋上へ。天気が良かったので、照り返しが強くて暑い。エレベーターを降りると、いきなりスケボーパークがあり、思い思いにスケボーを楽しむ青少年等の美技に見惚れるところから、公園散策が始まる。
以前きた時には芝生に人がいっぱい座っていたのだが...と思ったら、芝生養生中のため立ち入り禁止の看板が立っていた。公園の真ん中には「ドラえもん みらいのとびら」がある。ドラえもん50周年を記念して作られたとのこと。真ん中にはどこでもドアが。ドラえもんとのび太はもちろん、そのほかドラえもんのひみつ道具や藤子不二雄漫画のキャラクターたちが集まったモニュメントだ。さらに進むと階下に向かう大きな階段。階段を降りて日影に入ると、涼しい風が感じられる。まだ2, 3階の開店時間になっていなかったので、再び4階にもどる。ハチ公が方位磁針?日時計?の真ん中に居座り、天国のご主人を探す様に天を仰いでいる「渋谷の方位磁針|ハチの宇宙」。なぜハチ公が上を向いているのか、最初に見た時にはあまり考えていなかったのだが、作品のタイトルを記した看板のイラストで謎が解けた。

春の小川=宇田川と河骨川


自転車に乗ったところで、渋谷川に注ぐ支流「宇田川」に沿って川を遡る。繁華街の雰囲気が薄れてくると「ちょっと入ってみたいなー」と思えるカフェなどの飲食店が目に入ってくる。バイク侵入禁止のためのガードをすり抜けるのがちょっと面倒。パニアバッグなどがついていると、引っかかるかもしれない。それを差し引いても、ちょっと落ち着いた大人の渋谷を楽しむことができる。井の頭通りを渡ると、いくつか川筋(と思われる道)が枝分かれてしていくが代々木公園/代々木八幡駅前からふたたび井の頭方面へ向かう道を選択。駒場方面へ進路を取る。宇田川の上流、河骨川(こうほねがわ)が唱歌「春の小川」のモデルだとのこと。ところどころに「春の小川、この先」などという案内が電柱に掲げられている。

※ 隠田川と宇田川が合流した場所から川下を「渋谷川」と呼ぶのだそうです。そして、渋谷区を離れて港区に入るところから「古川」と名前を変えます。

駒場東大と渋谷の老舗





散走スタッフおすすめ「代々木から駒場に向かうのに、一番辛くない坂」を上って台地の上へ。代々木上原や駒場に連なるお屋敷の数々に見惚れているうちに駒場東大前。東京大学のキャンパスをぐるりと巡り(実は並木の木陰が涼しく、建物のバリエーションも豊富で、意外と好評)、神泉から円山町を抜け、道玄坂へ。道玄坂に自転車を駐輪。徒歩でランチのお店に向かう。「ムルギー」は昭和26年創業の老舗。独特の盛り付けのライスは「ムルギーの山」と呼ばれていることは、この記事を書いている時に知りました。
昔はもっと辛かった(お腹が下るくらい)気がしたので、今のはマイルドめに味付けして「辛口」「大辛」というメニューで対応している模様。
時代は変わる。おじいさんがカレーを運んできて、おばあさんがレジ横で白黒テレビを見ている、あの癒し感満載なのに不思議とドスの効いたムルギーは二度と戻らない。それでも、店を引き継いだ人たちが飲食店にとっては地獄のようだったこの2年間を乗り切って、老舗を行列ができる店にしているなんて、素晴らしいことだと思いながら店を後にして、その先の店の壁画に見惚れていたら
「お客さん、忘れ物です!」と店員さんが大慌てで私のバッグを持ってきてくださった。辱い。

渋谷を「空」から眺める

食後は代官山を回る。道玄坂から代官山の旧山手通りに出ると、建物の色もあってか雰囲気が明るくなる気がする。アドレスの脇から山手線に向かって坂を下る。ここにも谷があって水が流れていたことは、おそらく間違いない。山手線を越える歩道橋を渡って線路沿いに渋谷ストリームへ向かう。渋谷ストリームの駐輪場に自転車を置いて向かうのは、お隣りの渋谷スクランブルスクエア。14階までエスカレーターで上りながら、体を冷却+店内を楽しめた。(実施はエレベーターが激混み・超密で、「ならばエスカレーターでのんびり上ったほうが、建物の雰囲気も楽しめるよね」という話になった。散走らしい機転の利かせ方?)
14階から渋谷スクランブルスクエアの展望施設「SHIBUYA SKY」へと向かう。
屋上からは関東平野がぐるりと見渡せる。ヘリポート部分は人工芝が敷かれているので、ちょっと暑さも和らぐけれど、雲がちょっとかかっているくらいが心地よいくらい。走ってきた道を上空から辿ってみると「あれ、こんなに近かったっけ?」とか「ここは思ったよりも離れているんだな」などなど、実際に自転車で走っている時と印象が異なる部分があるのも面白い。また、自転車で走りながら「あのビルはどこにあるのだろう??」とギモンに思った建物の場所が特定できるのが、何より楽しいのは私だけだろうか。

カフェで一服



空の上を一回り、階下のアートも満喫したあとは、再び陸上へ。渋谷城のあった金王神社の脇のカフェでひと息。
金王神社も散策しようと思っていたのに、カフェのソファに腰を落ち着けてしまい、散走を振り返りつつ話を始めたら、ついつい話が盛り上がってしまい「あれ、もうこんな時間?!」と慌ててOVEに向かったのでした。


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