レポート 釣り散走〜湘南の春編
集合した小田急新松田駅では、まさかの雨模様。
ちょっと心が寒くなるのを感じながらスタートした釣り散走。
ほとんど釣りはやったことがない、というメンバーが多い中、釣り場「開成水辺フォレスト・スプリングス」に自転車で向かうのでした。。。さて
釣り場では、先にこの日講師を務めてくださった湘南マリーナの小山さんがOVE店長宮脇とともに、場所取りと「竿と仕掛け」(タックル)の準備をしてお待ちかね。
朝、放流する時間と、餌やりの時間(いわゆる「もぐもぐタイム」・・・魚はもぐもぐしないのか)がチャンスということで、まずは「投げ方」(キャスト)と注意点を説明。あとは「やりながら学ぶ」というわけで、早速釣りを開始。
今回使用したのは、シマノのブエナビスタ・コンボ。いつでも、どこでも、気軽に釣りができるように考えられた、まさにOVE散走のためにあるような道具。コンパクトな振出竿はケースも付属しているので、持ち運びにも苦労しない。
事前情報では「あまり釣れていない」と言われていた、開成水辺フォレスト・スプリングス。
「もしも誰も釣れなかったらどうしよう」
とまで思っていたのですが、
「あっ、来た!」
なんと筆者が最初に釣れてしまいました。その後、あちこちから
「あっ!」
「やった!」
と声が聞こえてくるのでした。そのたびに、小山さんがタモを持って右へ左へ。同時に首から下げているGoProで撮影をするのでした。
気がつけば雨もすっかり止んで、少しずつ気温も上がってきました
背後には時折小田急線が走る音が響きます。
静かな朝の時間を、釣りのことだけを考えながら無心に竿振り出していると
妙にこころが落ち着くものだなぁと感じたのでした
釣り始めから30分ほどすると、「もぐもぐタイム」がやってきました(魚はもぐもぐしない)。
スタッフの方が池の方にザザッと餌を投げると、魚が水面にやってきます。
そこにルアーを落として、ついでに食ってもらおうという算段なのですが、意外とうまくいきません。
それでも魚がずいぶんと岸の近くを回遊するようになってきたように思います。あまり遠くに投げないで、手前で勝負をかけたいところです。
このころには、みんなキャストも上手くなった様子。魚が回遊するコースのちょっと沖にルアーを落として、岸まで巻き上げてを繰り返します。
ときおり、ルアーを見つけて追いかけてくる魚がいると「ドキッ」としますが、そうそう簡単には喰らいついてくれません。
とはいうもののポツリ、ポツリと、だれかしら釣れる。
お昼近くなると、相変わらず魚は眼の前を通り過ぎていくが、なかなか釣れなくなってくる。もしかしたら「もぐもぐタイム」で満足してしまったのか?逆にこっちはお腹が空いてきたぞ。でももうちょっと頑張りたい。
いろいろな思いが交錯していたが、結局時間いっぱいまで粘って、それからレストハウスへ。
トラウトを使ったメニューが豊富、何を食べても美味しそうだ。
ランチが出来上がって一つ一つ運ばれてくるたびに「おおおお!」「美味しそう」「映える」などと声があがる。釣りの話をわいわいしながら、楽しくランチを頂いた。
釣りを目一杯したこともあり、時間が押してしまった。今後の行動についても相談。基本的にはあまりルートを短縮しないで行こうかな。。。
ランチを待っている間、講師をしていただいた湘南マリーナの小山さんとOVE店長宮脇、なかなかレストハウスに来ないなと思っていたら、なんと釣れた魚の後処理をしてくれていたのでした!
釣り券の種類によって数が変わるのだが、釣れた魚を何匹か持ち帰ることが出来ることになっているのです。
実はここ、開成水辺フォレスト・スプリングスのオーナーはサケ・マスの養殖で89年の歴史のある養魚場。水が湧いている池を使用しているということも相まってか、魚が美しいことで定評があるらしい。
小山さんも、これまで釣った管理池の中ではダントツの魚の美しさだと、太鼓判。実際、釣れた魚はみんな鰭が傷ついていたり鱗が剥がれたり傷ついたりということがない(素人目に見てだが)きれいな魚ばかりだったのです。
さて、小山さんも交えて、ふたたび釣り談義。今日の釣りについて、そして海に出ての釣りなど、話は尽きないのです。
食後はレストハウスのテラスに出て、みんなで記念撮影。そして、後ろ髪引かれる思いで開成水辺フォレスト・スプリングスをあとにしたのでした。
「午前中ずっと釣りをしていたから、意外と体力消耗しているんじゃないですかね」
と、帰り際に開成水辺フォレスト・スプリングスのマネージャー、佐藤さんと話をしていたのですが、確かにそれなりに疲労が溜まっていたことには、後ほど気づくことになるのでした。
開成水辺フォレスト・スプリングスを出発し、酒匂川の土手へ上るとそこは「酒匂川サイクリングコース」なのです。約4km上流から始まり7km下流まで、酒匂川右岸の土手を走るコースになっている。
酒匂川の河川敷は松並木が続いていたり、桜並木(といっても河津桜など、2月ごろに咲く桜なので、すっかり濃い緑の葉に覆われていたのだが)があったり。左手には酒匂川と対岸の風景が、右手には田んぼと町並み、そしてときおり通り過ぎる小田急線の音が聞こえてくる、見晴らしが良いこともあって周囲の中に自分も溶け込んでいけるような気分になれる。ときおりサイクリストや散歩をする地元の方とすれ違ったり追い越したり。そのうえ、川上から川下へ向かうルートは、ずっと下り坂。若干向かい風だったけれども、あまり消耗しないで走れるのです。
酒匂川は御殿場の自衛隊東富士演習場周辺を源流とする2級河川。静岡県内では「鮎沢川」と呼ばれ、丹沢湖から流れてくる「河合川」と合流、その下流は酒匂川と呼ばれています。「東を流れる一級河川相模川とともに、神奈川県の利水に関して重要な川であると同時に、結構な暴れ川でもあるそうです。
25年前にキャンパーが中洲に取り残され、流された「玄倉川」は河合川の上流、丹沢湖に流れる3つの川のうちの1つです。また、今回の散走で新松田駅から開成水辺スフォレスト・スプリングスに向かう途中に渡った、酒匂川にかかる十文字橋は平成19年に台風によって橋脚部分が沈み橋がV字に折れてしまったそうです。
そのような酒匂川にはところどころに「霞堤」が作られています。また、サイクリングロード(=土手)上にはに「水神」が祀られているところが何箇所があり、暴れ川となんとか付き合っていこうという人々の熱意と願いを感じることが出来るのでした。
右手から狩川が酒匂川に合流しようというところで、サイクリンコースは終点。そこからは市街地を走ります。少し下流に国道255号線が走っていて、国道につながる道はそれなりに車が集中しています。実は国道沿いに走ればすぐに小田原駅なのですが、それでは面白くありません。
国道255線を渡り、海の方に向かって酒匂川とほぼ平行するように走っていきます。JR東海道線の線路をくぐり、さらに南下。街の風景がなんとなく塩で色褪せたような感じなのは、海の街特有なのか。国道1号線=東海道の手前で脇道に入り、その1区画を巡ってみると面白い路地裏はもちろんのこと「戦国時代に北条氏が築いた土塁に太平洋戦争で米軍機が落とした爆弾が着弾して空いた穴」が見られたりなどして、見どころ満載!
国道1号線を渡って「かまぼこ横丁」の看板のある通りを進みます。ここは旧東海道。ところどころにある立派なかまぼこ屋さんや小洒落た店が見られるものの、なんとなく「がらーん」と空いている感じがする。
そんなかまぼこ横丁を抜けて次に向かったのは海。
「御幸の浜」という名前なのは、明治6年に天皇皇后両陛下が行幸されたから。西湘バイパスをくぐると眼の前に海が広がっている。砂浜のところどころに拳くらいの大きさの丸い石が転がっています。(以前よりも砂が多くなった気がします)
突然話が飛びますが....
10年ほど前に、グループで京都の仙洞御所に見学に行く機会がありました。池のほとりに御幸の浜の石と同じような形の石があって「あ、なんか形が似ているな」と思いながら見ていたら、「実は小田原の石なんだよ」と教えられたのです。
「この石を集めるために、同時の殿様が基準を満たす石を持ってきた領民には米一升を与えたんだって!」「へぇ〜〜」
(今回調べると「小田原の石」という解説と「湯河原の石」という解説がありました)
....その石を「一升石」と呼ばれることがあると知ったのは、今回散走の下調べをしていたときのことでした。小田原銘菓にも「小田原一升石」というのがあるそうです。
そんないろいろなエピソードのある御幸の浜。でも、ただただ寄せては返す波を見ているだけで、いつまでもいることが出来そうな不思議な魅力のある浜なのでした。
御幸の浜から再び走り出します。大きなお寺の敷地や小田原文学館のような古い洋館を見ていると、明治以降は温暖な気候のため別荘地や保養地として注目を集めたという小田原という街の一端を垣間見ることができます。そしてそこから国道1号線を渡り返すともうそこは小田原城。東海道で江戸を離れて始めて通過する城下町でもある小田原。お城の前に出てきた交差点の名前が「藤棚」。そしてお城の方を見ると立派な藤棚に満開の花。
お堀沿いにぐるりとまわります。ふと堀の反対側にあるのは小田原市立三の丸小学校。「こっちが城じゃないんですか!?」と言いたくなるくらいの、砦のような小学校に面食らいます。
天守閣を左に見ながらお城沿いに走ってきて、裏側に回るともう小田原駅。ですが、ちょっと最後に天守閣まで足を伸ばして記念写真をパチリ。
小田原駅近くの駐車場に行くとそこには「魚屋さん」ではなく、サポートカーが釣れた魚を運んできていたのでした。それぞれ魚を持ち帰り、塩焼きにしたり、ムニエルにしたり、はたまた燻製にしたりと、自由に料理を楽しむ。
帰ってからも美味しい散走なのでした。
<開成水辺フォレスト・スプリングス>
TEL 0465-82-8181 年中無休
営業時間 7:00-18:00(6-9月), 7:00-17:00(10-5月)
料金
1日 5000円(魚は5匹まで持ち帰り可)
半日(午前/午後) 4000円(同3匹)
3時間 3000円(同1匹)
小学生以下は半額、そのほか親子券、カップル券、回数券等の割引あり
釣り道具のレンタルは1500円
2024年5月15日現在。詳細はウェブサイトを御覧ください