OVE

ブログでつづるTour de OVE

ツール・ド・フランスの底力をついに見た!

UP

ルルドのカトリック大聖堂前にチームバスが並ぶ


アルプスが陽とすれば、ピレネーは陰。ピレネー山麓にあるルルドには不治の病を治す奇跡の泉がわき出るという。聖母マリアを見たというベルナデットという少女が、岩の割れ目からわき出る泉を発見。これが治癒的効果を発揮し、以来ルルドは神にすがる思いの人たちが訪れるようになった。かつてフランス人の先生が、「微量の放射性物質を含んでいるので、場合によっては治ることもあるのよ」と言っていたことを思い出す。

周囲には温泉地が幾多もあるから、やはり地底から不思議なパワーが立ちのぼっているのだろうか。世界中から敬虔なカトリックがやってくるから、それぞれの国の人たちがホテルや飲食店を営むようになった。参道の土産物屋には病床の家族に届けるためのボトルが売られる。あるいは余命幾ばくもない人がベッドのまま運び込まれる。そのシーンは人生観が変わるほどの衝撃だ。健康でいられることに感謝しなければと強く思った。


イタリア選手が聖なる泉を訪れた


ツール・ド・フランス取材陣にとってこのルルドは宿泊施設に困らない貴重な町である。この町ならコインランドリーやスーパーマーケット、おいしいレストランの場所も知り尽くしている。ボク自身、パリは毎年1泊しかしないが、ルルドは2泊から3泊はする。別にこのカトリックの聖地が好きなのではなく、ピレネー取材で動きやすいからだ。

2018年の第19ステージはこの聖なるカトリック教会の参道にチームバスが問答無用に置かれた。教会の前庭は関係者のビラージュだ。毎晩のミサでは世界中から集まった人たちがロウソクを掲げて「アベマリア」を唱えながら行進するところだ。ツール・ド・フランスはなんてことをするんだと思ったが、これがその底力だ。


ゴールの町はおそろいのウエアで大歓迎


スタートまで30分と迫った時間にもかかわらず、イタリア選手は奇跡の泉がわき出たところをわざわざ訪れていた。そこでちょっと思わぬ発見をしてしまった。泉を汲むところが変わっているのだ! これまでは少女ベルナデットが不治の病を治す水を発見した岩の割れ目の近く、公園の水飲み蛇口が50個くらいあったけど、全部取り外されていて、別のところに水汲み場が設置されている。いいのか、これで。フツーの水道水じゃないの?

町は相変わらずである。ここの角を曲がるとクスクス屋がある…。あれ? ないぞ。この先にコインランドリーが。閉店してるぞ。気がつけば空き家となった商店が多い。信仰心にすがって栄えた町は進化を忘れ、時代に取り残されつつある。

ツール・ド・フランスはこの日最後の山岳ステージをクリア。パリまであと少し。(山口和幸)

メールマガジン登録・解除pageTop