OVE

ブログでつづるTour de OVE

異例のショートステージに異様な盛り上がり

UP

100年前は人食い熊が人間を襲うと言われていたピレネーである


ミディピレネー地方は地図で言うとピレネー山脈の北東部。バニェールドリュションのような大きな町もあることはある。四方を2000m級の山岳に囲まれた静かな町だが、ペイルスールドなどツール・ド・フランスの伝統的な峠の直下にあって、105回の歴史の中に何度もその名前が登場する。湯治客が長期滞在するのだが、物価がとても安く、豪華なホテルも1泊1万円ほど。最高級レストランのフルコースで3000円だ。

第17ステージはこのバニェールドリュションをスタートし、サンラリースランまでの距離65kmという異例のショートステージだった。サンラリースランは住民900人という小集落。それでもスキー場のプラダデなどのベースとなるので、観光地としてにぎわっている。

このあたり、気をつけないとあまりにも文明と遮断されているため、時代錯誤する。古い石造りの壁に風雪にさらされた窓と鎧戸。それでも部屋の中はきちんと改装され、居心地よく生活できるように工夫されている。


ゴールまではゴンドラで上っていく


サルドプレスがゴール地点とはまったく違うところに設置されるのもピレネーではよくあることだ。かつてはゴール手前23km地点にあるスケートリンクだった。これまでもアルプスなどでスケートリンクが記者席だったことはあるが、この日はカーペットを踏みしめるとサクサクと音がする。なんと氷の上だ! どおりでパソコンの金属部が結露するわけだ。おまけに場内に張り巡らしたテントの重しはカーリングのストーンだし。

スキーゲレンデやその駐車場にシャピトーと呼ばれる大型のテントを設営して、それをサルドプレスにすることもある。フロアは板張りなのだが、これは気をつけないといけない。板張りの床は大柄な欧州記者が歩くたびにバタつき、パソコンが揺れる。この振動でボクのパソコンが壊れたことがあるので、ゾッとする。あのときは翌日に日本からやってくる仲間に「なんでもいいから買ってきて」と頼んだのだ。


サルドプレスはおかしなスタートシーンに失笑も


異例のショートステージはF1グランプリなみに、選手を総合成績順にスタートグリッドに並ばせるという異様なスタート。これにはサンラリースランのサルドプレスでモニターを見ていた記者連中は大盛り上がり! そして選手をスタートで降ろしてからゴールに先回りするというチームバスも、迂回路なんてないのだからゴールに到着するの無理でしょという状況。ということは、選手はゴールしたら15km下山してバスを探すんだと思う。そしてキャラバン隊はとっくに到着しているはずなのに1台も現れていない。

ピレネーの中でもめったに足を踏み入れない秘境。ツール・ド・フランスはちょっと異例の1日を過ごしている。(山口和幸)

メールマガジン登録・解除pageTop