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むかしアルセーヌ・ルパン、いまはマクロン大統領

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美しきバラの村として有名なジェルブロワは117.5km地点 © OT Picardie Verte


フランス北部に位置するノルマンディー地方のルーアン、ディエップ、アミアンといった地名は、幼少期にアルセーヌ・ルパンの小説を読んだ人なら目にしたことがある、あるいは記憶に残っていることもある都市名だ。

英仏海峡の海岸線は白亜の大岸壁が垂直に屹立する独特の景観があって、アルセーヌ・ルパンの小説で有名な「奇巌城」もある。もともと作者のモーリス・ルブランはルーアン出身で、美しい海岸線をサイクリングするのが趣味だったという。「奇巌城」があるエトルタの岸壁に立って、創作力をどれだけふくらませたことだろう。

第8ステージはパリの北200kmほどにあるアミアンを目指す。美しきバラの村として有名なジェルブロワを117.5km地点で通過した。戦禍により荒廃した村が美しきバラの村に生まれ変わったとして人気の村だ。


この日はフランス革命記念日


2012年の第4ステージはルーアンにゴールするコースだった。セーヌ川沿にゴール地点が設営されるのだが、河岸の名前はルーアン出身の自転車選手ジャック・アンクティルの名前が付けられている。2012年はアンクティルがツール・ド・フランスを初制覇してから55年、没後25年という節目であり、その偉業を再確認する意味で設定されたステージだった。その日はまさにアンクティルの偉業をしのぶ特別の1日だった。

この日ボクは、ツール・ド・フランスをちょっと逸脱してルパンシリーズの代表作の舞台である「奇巌城」を見に行っていた。運転するクルマのラジオでは、朝から「ツール・ド・フランスが1997年以来15年ぶりにルーアンにやってくること」、そして「ジャック・アンクティルは今もフランスの誇りであること」を飽きることなく語っていた。アンクティルゆかりの人物が次々とインタビュー出演し、「あのころはフランス人が敵なしだったね」という昔ばなしを繰り返していた。

ルパンの世界に没頭していたボクがクルマまで戻り、エンジンキーをひねって最初に聞いたラジオで、「大集団から3選手が抜け出した。フランス勢2人。そしてジャポネ。ユキヤ・アラシロ……」
ルパンの世界にひたっているヒマはなかったのだ。

この日新城はゴールまでに吸収されるものの、積極果敢な走りが評価されて敢闘賞に選出。日本勢として初めて表彰台に上ることになった。


いいなあ、ボクもやってもらおう!


第8ステージのゴール、アミアンは世界的に知られる大聖堂が有名。北フランスに多いゴシック建築の教会だ。重厚な石壁で作られ、開口部も少ないので重苦しい感じのするロマネスク様式に比べて、ゴシック様式は建築技術が進歩したその後に登場したことから、絢爛豪華なステンドグラスと鐘塔や尖塔を持ち、明るく開放的なことが特徴だ。

現在のマクロン大統領はこのアミアン出身だ。かなり年上の奥さまは学校の先生だったことで知られているが、実家はアミアン大聖堂前にあるマカロン菓子店。マカロン屋の娘がマクロン大統領の妻となったという…。

そしてアミアンにゴールした2018年の第8ステージはロットNLユンボのディラン・フルーネウェーヘン(オランダ)が前日に続いて大集団のゴール勝負を制し、今大会2勝目、大会通算3勝目を挙げた。総合成績ではマイヨジョーヌを着るBMCのグレッグ・バンアベルマート(ベルギー)が首位を守り、6日連続で黄色いマイヨジョーヌを獲得。(山口和幸)

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