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ブログでつづるTour de OVE

ブルターニュの激坂に未亡人との思い出がかぶる

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大会スタッフのランチ風景。仕事もするけど楽しむことも忘れない


2011年に初めてミュールドブルターニュに行ったときの記憶は鮮明に残っている。石造りの古びた家が多い小さな村々が点在する地域である。予約したホテルに行ったら、「ようこそ。キミの部屋はないよ。でも大丈夫。知り合いの民家にお願いしたから」といきなりの洗礼。まがりなりにもフランスは観光大国なので、無責任なことはしないので、まあなんとかなるとは思うけど…。

で、古い1軒屋を訪ねると未亡人の1人暮らし。その夜は語学教室の個人レッスン並みにフランス語の会話が続いて、1日の疲れをいやすどころか疲れが増した。「朝食はホテルがきちんと用意する」と言っていたけれど、未亡人も気を遣ってくれて村のパン屋に出向いて朝食を作ってくれていた。厚意をむげにすることもできず、この日は朝からお腹いっぱい。宿泊費は予約時のとおりの金額をホテルに行って支払うのだが、お世話になった未亡人にいくらか落ちると思うので、文句も言わずに支払いを済ませた。


この地方は綱引きとか鉄アレイ飛ばしとか大木担ぎなど素朴なゲームが伝統


次に訪れたのは4年後の2015年。ボーナスタイムが2008年以来の採用となり、集団スタートの第2ステージからミュールドブルターニュにゴールする第8ステージまでゴールの上位3人にそれぞれ10、6、4秒が与えられ、それが総合成績から差し引かれる。どうして前半だけボーナスタイムが設定されたかというと、平たんステージは集団ゴールとなりやすく、ボーナスタイムを獲得するのはスプリンターだと想定されるからだ。大会後半は総合優勝を争って有力選手が秒差の争いを展開する。その際にボーナスタイムの減算があると複雑になってしまう。最後は単純に力勝負で争ってもらおうというルール設計だ。

しかし第8ステージのゴールはミュールドブルターニュである。総合優勝を争う有力選手が3着までにゴールする可能性があった。この年、2年ぶり2度目の総合優勝をねらっていたフルームは前日に首位に立っていた。フルームはボーナスタイムの存在を頭の中に入れてあり、ミュールドブルターニュの上りに入ると先頭を走ってライバルをふるいにかけた。自らが3着以内に入れば理想的だが、そうならなくても総合成績の上位選手が4着以下ならタイム差を詰められない。どちらに転んでもフルームにとっては都合がいい。


砂田弓弦カメラマンがさいたまのマスコット「ヌゥ」を撮影


案の定、総合成績では大きく遅れている伏兵たちが区間勝利をねらって先行したので、フルームはそれ以上執拗に追いかけなかった。
「それほど長い上りではないのでタイム差はつかないと思っていた」フルームだが、前年の総合優勝者ニーバリがこのミュールドブルターニュで遅れたのは予想外だった。
「スタート時は調子がよかったが、最後の上りでフルームの加速に着いていこうとしたが身体が動かなかった。こういう悪い日はあるよ」とニーバリは語っていたが、結局最後までフルームを捕らえることはできず、フルームが総合優勝することになる。

そして2018年の壁上りはUAEエミレーツのダニエル・マーティン(アイルランド)がゴール手前の激坂で抜け出して優勝。2013年以来の大会通算2勝目を飾った。総合1位のマイヨジョーヌを着るBMCのグレッグ・バンアベルマート(ベルギー)は他の有力選手とともにゴールして、その座を守った。(山口和幸)

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