OVE

ブログでつづるTour de OVE

20年前の不穏な空気をふきとばした真夏の日差しにホッとした!

UP

強烈な日差しをさえぎる木陰が特等席


大西洋に面したペイドラロワールは自転車競技が盛んなところだ。ツール・ド・フランスが定期的にこの地を訪問するのは、自治体や地元企業が自転車イベントの運営やサポートに積極的だからだ。そんな背景を利して、この地方出身のジャンルネ・ベルノードーがバンデUという地域チームを結成し、プロチームに昇格させた。それが新城幸也も所属していたヨーロッパカー。現在のディレクトエネルジーだ。

「U」というのはスーパーマーケットの「スーパーU」の略。1980年代からフランスのプロチームにスポンサーをしていた企業で、その拠点はペイドラロワールだ。前回、このペイドラロワールが開幕地となったのは2011年。カリブ海の海外県マルティニック島育ちの絶対的エース、トマ・ボクレールをのぞく8人がバンデ県出身選手で構成され、新城が出場を逃したのはスポンサー的な圧力が加わったからである。

もともとベルノードーはフランス純血主義者、さらに言えばこの地域をこよなく愛するフランス人だった。その考えが変わったのはチーム名がブリオシュラブランジェールだった2004年、海外県のボクレールがマイヨジョーヌを獲得したのがきっかけだった。「海外からの才能もどんどん利用していった方がいい」と方針を修正した。


この日はチームタイムトライアル


日本の新城もしばらくしてベルノードーのブイグテレコムに加入し、以来ペイドラロワールを拠点として活動している。2年間は2011年第2ステージのスタート・ゴール地点となったレゼサールにあるチーム所有の城館に住んでいたが、近くにあるベルビルシュルビー、日本語にすると「人生における美しき町」という町に引っ越した。近所の子供たちが練習に出かける新城の後を追うこともあり、地元少年たちにとってのプロ選手は新城だったりもするわけだ。

大都市ナントからクルマで1時間ほど。集落をつなぐ1本道が農地と森林のなかを一直線に貫通する。さすがに国道は交通量があるが、ツール・ド・フランスによく利用される県道は閑散としていて、まさに自転車天国。平坦といってもうねりのある丘陵地が散在し、負荷をかけた練習もこなせる。


チームタイムトライアルの選手らがやって来た!


ただしボクにとっては忌まわしい記憶もある。それが第3ステージの舞台となったショレだ。1998年はフランスで開催されていたサッカーW杯と日程が2日重なっていたこともあり、話題性喚起のためにアイルランドを3日間走るコース設定だった。北海に面した港に向かったフェスティナチームの車両がフランスとベルギー間の国境で検問に遭い、マッサージャーが運転するクルマの中から大量の禁止薬物が押収された。優勝候補だったフランスのリシャール・ビランクらはそのままレースを続行し、大会はW杯優勝に沸くフランスに入国するのだが、第4ステージ終了後のショレでフェスティナチームの監督が逮捕された。さらに全選手が「排除」という通告を受けた。これがいわゆる「フェスティナアフェア」だ。

あのときはツール・ド・フランス100年の歴史が止まるかと思った。それほど衝撃的で不安だった。だからボクはできればショレには足を向けたくなかった。

ただしこの日は真夏の快晴。20年前は不穏な空気が立ちこめていたが、汗がしたたるほどの日和に恵まれ、陰湿な気分も吹き飛んだ。今大会唯一のチームタイムトライアルはこの種目を得意とする米国チームのBMCがトップタイムで優勝。同チームのグレッグ・バンアベルマート(ベルギー)が首位に立った。(山口和幸)

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