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イベントのご報告


「ものの始まりなんでも堺」と 言われた堺(さかい)。
自転車文化発祥の地でもある堺は、新しい思想やモノものを造りだす力は、環境が物を言います。周辺に川があり、立地がよく貿易が盛んだったことはもちろん影響しているでしょう。しかし、新しいものをうまく暮らしに取り入れるには、人々の感性が優雅でないと善きものは生まれないのではないでしょうか?

人々の気質や大切にしているものが暮らしの中にあふれているはず。それは何か?この謎を解くべく、”家”の視点から堺の暮らしを覗いてみました。

今回は、"空間" と "時間" と "行間" をテーマに、今昔入り交じる堺という町にひそむ上質を楽しむ拠点「SAKAINOMA」をデザインされた建築家 間宮吉彦さんをゲストにお迎えし「伝統文化と暮らし」をテーマにトークイベントを開催しました。



千利休のふるさと堺に創業した160年以上の伝統があり、おいしさと安心を追求したお茶の老舗「つぼ市製茶本舗」のお茶をいただきながら、会ははじまりました。つぼ市製茶本舗さんは、間宮さんがリノベーションした建築です。堺には、140年以上も経つ歴史的建造物が200件以上もあります。古いものを取り壊し、使える素材を精査し、また新たに命を吹き込む。デザインそのものは新しいけれども、素材や古くからの生活様式の工夫を生かすことでどこか懐かしいような空間に仕上がります。そこにあったものをデザインで生かすことで伝統を繋ぎ、暮らしの知恵を繋いでいくことになるのではないかと感じました。



浅草にできた「まるごと日本」に入っているつぼ市製茶本舗さんの新店舗は、歴史的なものはなくゼロからのスタート。しかし、間宮さんはどこか堺を感じてもらえるようにと考えました。そこで取り入れたのが、利休が好きだったと言われているねずみ漆喰という色。壁全体をみずみ漆喰にすることで利休の想いを表現。代々受け継がれてきた帯なども椅子に使われたりなどの工夫をし、まさに物が語るストーリーが生まれます。古きよき想いを新しいもので表現するという観点もおもしろいなと感じました。



また、京都では、外国からのお客様が一般の方の家を借りて暮らすように泊まる仕組みが増えています。日本を感じてもらうためのささやかな心遣いの工夫が間宮さんの建築にはあります。

例えば、昔美しい芸者さんが住んでいた家だったという話から、お部屋には芸者さんが描かれた掛け軸が設えてあったりします。また、旅館のリノベーションでは部屋ごとに日本をイメージしやすいテーマを設け、それぞれのロゴがデザインされています。着物の部屋には、着物が飾られていたり、忍者の部屋には、手裏剣が刺さっていたり。他の部屋にも泊まってみたいなと思わせるワクワク感があります。日本人からみたら他愛もないことが、外国の方にはワクワク感を掻き立てられるようなデザインです。話を聞いただけで日本人の私たちも、その遊び心にそそられます。


間宮さんが手がけている堺のプロジェクト。堺での「空間」(宿泊施設)と「時間」(カフェ)と「行間」(ウェブサイト)を楽しんでもらうため、まちづくりの視点とデザインの視点をあわせもっってできた「サカイノマ」。堺を回転(動かし)風を生み出すプロジェクトのロゴも明解で素晴らしい。具体的に、何をするのか、何をしたいのかを明確に分析し、歴史・文化・資源を生かしながら建物の観点から堺の人の心を動かすプロジェクト。


街並みを生み出すには、建物があり家がある。そこには人々の営みがあり、想いがある。建物にはお金を惜しまず、どーんとした立派なものを作りあげてきた堺人の気質をもっているからこそ、間宮さんは善きものを繋ぐ力があり行動できる力があるのではないかと感じました。シェアリングエコロジーなど、今までにない文化がつくられてきている今、異文化を柔軟に取り入れる力に長けている堺の今後の発展が楽しみです。

堺の銘菓「肉桂餅」と上質な「利休茶」をいただきながら堺を感じるひとときでした。

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